2016年12月
最新の”コッピング”
家具工場には、”コッピング”という名の機械があります。全ての家具工場にあるわけではなく、イスやテーブルの脚を作るいわゆる”脚物”を作る工場に多くみられます。
”こっぴんぐ”という言葉を初めて聞いた時、頭の中は「???」。何のことなのかさっぱりわかりません。
英語なのだろうと、綴りを思い浮かべてみますが、やはり「???」。
"Copping"? "Cupping"? そんな単語、英和辞典に載っていません。
日本語にすると、”倣い旋盤”と言うらしい。
木工機械用語集によりますと・・・
”複数の加工材の取付け軸とモデルの取付け軸をそなえ、両方を回転させてモデルに密着させたトレーサと刃物とを同一の刃物台で連結させ、一回のセッティングで複数の加工を行なう木工旋盤。加工材の取付けは、通常水平式とするが、垂直式タイプもある”
つまり、”コピーする”という概念から生まれた言葉らしい。
正解は、「COPYING」。
本物の英語なのか、和製英語なのかはわかりません。
くだりが長くなりましたが・・・ お客様の工場に、最新の”コッピングマシン”をこのほど導入いたしました!
何が最新かというと、まずは”倣いのモデル”がありません。
従来のコッピングは、モデルをその形に沿って倣う必要がありました。
製品の数だけモデルもあることになります。
この最新コッピングは、モデルが必要ありません。
倣いモデルの代わりにが、三次元CADのモデルデータです。
CADデータをNCプログラムに変換し機械を動かします。
それでは、加工をちょっと見てましょう。
加工前↓ 材料を機械にセッティングします。
加工スタート!
勢いよく回転する材料を刃物で削っていきます。
角材の角張った個所が削れて丸みを帯びてきました。
”脚”っぽい形になってきましたね。
加工終了!↓
加工前と比べてみてください。
見事な仕上がりです!
この機械、旋盤加工だけではありません。
通常のNCルーターと同様の5軸加工も可能です。
さらに刃物交換ができるATC装置付き。
試運転が完了し、あとは本格稼働を待つばかり!
バリバリ加工している姿を見るのが楽しみです。
PADEのインターフェース
毎年少しずつ使いやすくなっています。

”ウォームアップ”モード。
機械始動前に、各軸(5軸)とスピンドルを空運転させて準備運動。
文字通りのウォームアップです。
寒い北海道には必須!

”プロダクション”モード。
生産管理に使用。
一日何時間稼働したか、何ピース生産したか、などのデータを集計管理します。

”メンテナンス”モード。
給油の時間、オイル交換、フィルター掃除などのメンテナンスの時期を教えてくれます。「油切れして機械が壊れた!」という不測の事態を未然に防ぎます。
”ユーザーフレンドリー”な操作が容易な画面を目指しています。
試運転と加工が始まりました!↓

PADEならではの首を振り振り滑らかに加工していきます。
やはり曲線加工が得意です。
カップの冶具加工↑
続いてはスツールの座面を加工↓

PADE1台で加工の幅が広がりますね!
お客様には納入からトレーニングまでお世話になりました。
ありがとうございました!
氷点下25度
NCマシン納入中
マイナス10℃を下回りましたね。
昨日今日とイタリアから機械が届きました。
昨日の機械は、なんとイタリアから空輸!で来ました🇮🇹

NCマシンが飛行機で飛んできたのは初めてです🛫
普通ならヨーロッパから約2ヶ月かけてどんぶらこと船で来ますから⚓️
当たり前ですが、イタリアから飛んだ翌日には日本(成田)に着いてました🛬
当たり前ですが、速い!
バカでかい林業機械も飛行機で運んだって言う話も聞いたことがあるので、この位の機械なら驚くことではないのかな。

背の高い機械なので、工場の天井の配管類にぶつかるか心配していました。が、お客様の完璧な計算と段取りのおかげでスムーズに搬入ができました。

今回新しい機械を導入することによって、古い機械が撤去されました。お客様の工場でNC1号機でした。35年!も稼働していたそうです。昨日までバリバリ働いていました。木工機械、NCマシンもここまで使っていただけると嬉しいですね。
続いて、下川町でNCマシンを搬入しました。

11月にイタリアで研修してきた機械です。
イタリアに行った時には既に船に載って出航してしまっていたので、今日初対面しました。

もう機械周りのフェンスも組み立て終わりました。
仕事が早い!
2台とも来週には試運転の予定。
次回ご報告したいと思います。
一枚の絵画
この一枚の写真から話題が広がります。

お客様も世代が変わり、ここにあった工場は今は違う場所に移転しています。昭和36年から昭和48年までこの地に工場があったと教えて頂きました。およそ半世紀前の話です。
偶然にもお客様の応接室に飾ってあった一枚の絵画。

上の写真と同じ橋が架かっています。
写真とは橋を挟んで反対側から眺めています。工場が描かれていて、当時の雰囲気が伝わってくる素敵な絵画です。
そして、現在。

いつも打合せさせて頂く応接室にある一枚の絵。弊社にあった古い写真と繋がった不思議な瞬間でした。
来年、創業70周年を迎えるそうです。
おめでとうございます。
北欧
今回の任務は、”子供たちの手紙をサンタさんに届けること・・・”
ではなく、機械メーカーとの打ち合わせです!
でも空港に到着早々に、クリスマスの浮かれた雰囲気に飲み込まれます↓

機内誌でフィンランドの現状をちょっとお勉強。
(フィンランド航空の機内誌には必ずその年の統計が載っています)

国内総生産の13%(濃い青の部分)を工業製品が占める。
その工業品の中で17%を木製品(Forest products)が占めています。
それでは、この割合が高いのか、低いのか?
(木材業界にいればわかりますよね?)
日本の現状はというと・・・
「木材製品の出荷金額は・・・ 全製造業の生産額の約0.7%に相当する」
(森林林業白書より)
フィンランドが17%、日本は1%にも満たない産業、木材業。
北欧の12月は、もっとも日が短い、暗い時期。

日中の薄暗さと冬の寒さが相まって、人々の心も暗くさせているのか、皆大人しく感じる。
訪問した製材工場の脇の湖はもうすでに凍っている。

製材工場にとっては、凍結材を製材するという厄介な問題を抱えるのは、ヨーロッパも日本(特に北海道!)も同じようだ。
食事をした後、レシートを見ながら北欧の税金のお勉強をする。
(ここは、スウェーデン)

課税対象によって、25%のものと、12%のものがある。
よく見てみると、食事とコーヒーに12%、ビールに25%課税されている。
アルコールに高く課税されているのか・・・?と思いましたが、そうではありません。
日本でいう消費税は、ヨーロッパでは付加価値税(VAT)と言いますが、ここスウェーデンの標準税率は25%(日本は8%)。最近日本でも検討された”軽減税率”が食料品に適用されて12%になっているんですね。
日本の議論の中で「食料品には軽減税率が適応されるが、外食の場合は適応されない」と言っていましたが、ここ北欧では外で食べようが、中で食べようが、食料品には一律に軽減税率が適応されていました。
外国のシステムは、必ず日本に入って来る。
でも、屈折して輸入されることが多い。
外国に来て、日本を知る、ですね。